米国ビール市場の現状 ~ クラフトビールが好調。トップ40ブランドは2桁成長

ニールセン カンパニー合同会社

ニールセン カンパニー合同会社

2018年01月12日 13:00

世界最大のマーケティング調査会社ニールセン(日本法人:ニールセン カンパニー合同会社、本社:東京都港区、社長:福徳 俊弘)は、本日、米国のクラフトビール(小規模醸造のビール)市場についてのインサイトの日本語版を公開しました。

本プレスリリースは2017年12月6日にニールセンの米国本社が公開したインサイトの抄訳です。

世界最大のマーケティング調査会社*1 ニールセン(日本法人:ニールセン カンパニー合同会社、本社:東京都港区、社長:福徳 俊弘)は、本日、米国のクラフトビール市場についてのインサイトの日本語版を公開しました。

酒類の売上に目を向けてみると、ビールが以前よりも低調であるのは確かです。ビール業界は成長への努力を続けてきましたが、過去数年間はワインや蒸留酒にシェアを奪われていたことが、ニールセンの「米国ビール市場の現状(State of the U.S. Beer Market)」レポート*2 で明らかになっています。こうした全般的な業績低下の一方で、クラフトビール(小規模醸造のビール)など成長が続く商品セグメントもあります。

ニールセンが米国で行った店外消費用ビール販売チャネルでの測定では、クラフトビールセグメントは、2017年10月7日までの52週間で3.4%の売上の伸びを示しました。ただし、クラフトビールのように細分化され多彩な種類で構成されるセグメントにおいては、現在もなお、健全な成長の機会が数多く見受けられます。例えば、クラフトビールの上位を占める100醸造業者のうち40醸造業者(売上高に基づく)では、クラフトビールカテゴリーの成長率は2桁に達しているのです。
しかしながら、このクラフトビールの上位40醸造業者の場合、流通範囲の拡大が、成長をもたらしてきた注目すべき要因の一つでしたが、この拡大も最近では減速しています。

この上位40醸造業者の2桁成長への道筋をさらに詳細に見てみると、成功へのアプローチが一様でないことは明らかであり、それとは逆に、多彩な要因が成長に貢献してきたのが実情です。この分析の一環としてニールセンでは、これらの大手クラフトビール・ブランドならびに急成長を遂げるクラフトビール・ブランドに該当する3つの領域に特に注目しました。具体的には、
1) 成長率が上位のクラフトビール醸造業者を多く抱える上位の州、
2) 一部ブランドに対する大手主流ビール会社からの支援、
3) 商品ポートフォリオの多様性、
の3点です。

クラフトビールの成長を牽引する特定の州と地域
地域別に見ると、米国の西側に特に醸造業者が集まっており、カリフォルニア州の6社、ワシントン州の3社、オレゴン州の2社、ユタ州の1社の合計12のクラフトビール醸造業者がこの地域に本拠を置いています。ただし、この地域だけが成長を牽引しているのではなく、上位40醸造業者のうち10社が所在する中西部でも力強い成長が見られます。中西部全体としては、ミシガン州とオハイオ州が最も成長への貢献度が高く、両州とも上位40醸造業者のうち3社を抱えています。

総合的なビールカテゴリーにおけるクラフトビールの全般的シェアが比較的低い州に本拠を置く醸造業者は、上位40社のうち7社を占めます。この数字から考えられるのは、一般的には非クラフト系のビールからより大きな利益を得ている州でも売上を伸ばす方法を、こうした企業が見つけ出す過程にあるということです。ビール人気が高い州としての歴史があるテキサス州とフロリダ州の少数の醸造業者は、クラフトビールの成長の余地がある州で2桁成長を達成したクラフト醸造業者の好例と言えます。

醸造業者がどの州に所在するかは、全体的な売上を左右するきわめて重要な要素です。注目すべきは、クラフトビール醸造業者上位40社が、売上高の平均42%を本拠地である州から得ていることです(ビール販売を制限する法律がある州の醸造業者を除く)。

クラフトビールの販売拡大のための大手ビール会社の投資
上位40ブランドには、小規模な独立醸造所のクラフト・ブランドだけではなく、大手醸造会社が所有する12のブランドも含まれます。この12ブランドのうち4つが、2桁成長を遂げる醸造業者の上位10位に入る最大手のクラフトビール醸造業者に該当します。

商品ポートフォリオにクラフト・ブランドを含む大手のビール会社にとっては、流通は成長をもたらす主要因の一つです。流通から得られる利益は上位40ブランドの多くで低下傾向にありますが、大手ビール会社の所有するブランドは、現在も引き続き、独立醸造業者よりも早いペースで流通を拡大しています。さらに、大手ビール会社が所有するクラフトビール醸造業者はこの4年間、「本拠地」である州以外でも売上を拡大してきました。実際、こうした醸造業者の本拠地の州での売上が占める割合は、4年前の54%から44%へと低下しています。

クラフトビールの商品ポートフォリオの多様化
商品ポートフォリオについても、すべての醸造業者にあてはまる公式はありません。例えばインディア・ペールエール(IPA)スタイルは、クラフトセグメント全体で特に高い人気を誇り、クラフトの総売上の約30%を占めています。上位40社では、IPAが占める割合は平均で売上の40%に達しています。6社においては、IPAが全体の売上に占める率は70%を超えますが、一部の醸造業者では、IPAの売上は非常に低く、代わりにポートフォリオに含まれる他のスタイルが大きな売上をもたらしています。

クラフト醸造業者のブランドの幅広さも考慮すべき重要な要素であり、上位40醸造業者のポートフォリオのサイズ(すなわち個別のブランド数)は、6から50以上まで多岐にわたります。クラフト醸造業者1社あたりの平均ポートフォリオサイズは23ブランドであり、10~25ブランドを擁する醸造業者が最大の割合を占めました(18社)。クラフトセグメント全体の成長に陰りが見られ、小売店の棚に占めるスペースが以前ほど広がらない現状では、個々のブランドが店舗に十分な利益をもたらさない限り、非常に多様なポートフォリオを長期的に維持するのは困難だと思われます。

*1: ESOMAR Industry Report “Global Market Research 2016” 調べ
*2: ニールセン 「米国ビール市場の現状(State of the U.S. Beer Market)」レポート、2017年5月
https://goo.gl/zGioWZ

調査方法:
ニールセン小売測定による売上、店外消費用ビール小売店で2017年10月7日までの52週間にわたって測定(昨年の成長率が2桁以上の上位40クラフトビールブランド/醸造業者、フレーバーモルト飲料とサイダーは除外)

ニールセンについて
Nielsen Holdings plc(NYSE: NLSN)は、世界的なマーケティング調査会社として消費者の視聴行動、購買行動の分析を行っています。視聴行動分析部門は、メディア・広告企業向けに各種デバイス上での動画・音声・テキストのコンテンツおよび広告視聴動向を把握するトータルオーディエンス測定などを提供しています。購買行動分析部門は、消費財メーカーや小売企業を対象に業界で他に類を見ない世界規模のリテールパフォーマンス分析などを提供しています。視聴行動分析、購買行動分析を他のデータと組み合わせた世界レベルの測定・分析により、ニールセンはクライアントのパフォーマンス向上を支援します。S&P 500 企業として、世界人口の90%を網羅する100 カ国以上に拠点を有しています。詳細は当社ウェブサイトをご覧下さい: www.nielsen.com